◆LCAとは
LCA( Life Cycle Assessment:ライフサイクルアセスメント)とは、
ある製品やサービスの一生(資源の採掘から、製品の製造、使用、廃棄まで)の各段階で生じる環境影響を定量化して評価する手法です。

LCAの概念を、プラスチックのライフサイクルを例に示すと、図1のようになります。
プラスチック1つとっても製造から廃棄までにこれだけの過程があるのです。
LCAではこれらの全過程において排出される環境負荷の値を計算します。

「リターナブルびん(再利用できるガラスびん)」と「使い捨て容器」を比べた場合、どちらが環境にやさしいと思いますか? 使い捨て容器はプラスチック製のものを例に考えてみましょう。それぞれの内容物・内容量は同じものとします。
一見、再利用できるガラスびんのほうが使い捨てのプラスチックより出るごみが少なく環境負荷も小さいようにも思えますが、本当にそういえるのでしょうか?
実際のところ、容器の重量はガラスびんのほうが格段に重いため、輸送にかかるエネルギーはリターナブルびんのほうが多く必要になります。さらに、リターナブルびんの場合は回収率の良し悪しが環境負荷の増減に大きく影響します。一方、使い捨て容器の場合は、一度使った容器は使い切りで新たに容器を調達しなければならず、その分の環境負荷を考えなければなりません(他方、リターナブルびんは、再利用のための検品・洗浄などの過程で発生する環境負荷を考える必要があります)。
以上のように、製品の「使用」や「再利用」「廃棄処理の方法」といった部分的なプロセスだけを評価すると、場合によっては、製品全体としては環境負荷の低減につながらない結果となってしまうことがあるのです。
環境影響を正確に把握するには、総合的な視点からの評価が必要です。そしてそのために開発された手法が LCA です。LCAによれば、製品を作るための資源採取から原材料の調達、製造、製品の加工・組立、流通、使用、そして廃棄にいたるまでの全過程(ライフサイクル)における環境負荷あるいはエネルギー投入量を総合し、科学的、定量的、客観的に評価することができるのです。